メディア・ユニバーサルデザイン(MUD)において、誰にでも正確に、分かりやすく伝わるようにするための重要な要素の一つが「色」です。
今回は様々な色の見え方を理解し、配慮するためのポイントを実例を交えてお伝えします!
色の見え方の多様性
色の見え方は年齢や色覚特性、環境によって異なります。色の見え方の違いによって、正確な情報を得られず、誤解や事故を引き起こす可能性があるため、様々な色の見え方を理解し、配慮することが重要です。
・色覚障がい
色覚障がいとは、特定範囲の色の見え方が一般色覚者とは異なり、色の差を感じにくいことです。日本人では、男性の約5%(20人に1人)、女性の約0.2%(500人に1人)が色覚障がいといわれます。
★Adobe IllustratorやPhotoshopでは、色覚の違いをシミュレーションする機能があるので、制作中に確認しながら制作を行うことができます!IllustratorやPhotoshopの「表示」メニュー→「校正設定」から、「P型(1型)色覚」「D型(2型)色覚」を選択することで、P型やD型の色覚の人がどのように見えるかを確認することができます。
・白内障
白内障の方は、「水晶体」が黄白色や白く濁るため、明度差が小さい色の組み合わせや同系色は識別がしづらいです。
色の組み合わせ
色の見え方の違意によって、見えづらい組み合わせがあります。どのような色覚を持つ人にも見分けやすい配色を選ぶことで、正確な情報が伝わりやすくなります。
・見分けにくい色
色覚障がい者の方は、赤と緑、黄色と黄緑など、白内障の方は、淡いパステルカラーや黄色と白、黒と紺などが認識しにくい色です。青色はどの色覚でも識別しやすい色です。
・コントラストを確保する
見分けにくい色の組み合わせや同系色でも、明度差をしっかりとつけることで比較的識別しやすくなります。
色に依存しない見せ方
コントラストを確保しづらかったり、グラフや地図など色を複数使用する必要があるデザインにおいては、色に依存しない方法を活用するとより伝わりやすくなります。
・ハッチング(模様)の使用
違う色同士であることを伝わりやすくするために、線や点を使用したハッチングを付けることも有効的な手法の一つです。
・境界線の使用
見分けにくい色やコントラストが確保しにくい色の組み合わせでも、明確な境界線をつけることで見え方を改善することができます。
実例
では、実際にどのような配慮や工夫を加えるのか、実例を交えてご紹介します!
改善前
道路の色に茶色、お店までの道順を示す赤色を使用していることで、見分けづらい色使いになっています。他にも、文字と道路が被っており読みづらくなっているため、配慮が足りていない地図になっています。
改善後
お店までの道順は色覚での差が少ない青と黄色を取り入れることで、どの色覚でも同じ情報が伝わりやすくなりました。郵便局や中学校など建物名には白い背景をつけることで、道路との差がはっきりとして見やすくなりました。さらに、川には模様をつけることで道路と川の違いがより分かりやすくなりました。
まとめ
メディア・ユニバーサルデザインにおける色の重要性は、情報の伝達力を強化する一方で、誰にでも平等に情報が届くように工夫することにあります。適切な色の使い方と、色以外の要素を組み合わせることで、視覚に制限がある人々にも分かりやすいデザインを作ることができます。スタジオーネ63には、メディア・ユニバーサルデザイン教育検定(MUD検定)の資格を持つスタッフが在籍しています。MUDを取り入れたデザインをご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
・本記事で使用したP型色覚・D型色覚の見え方シミュレーション:Adobe Photoshop 2024
・シミュレーション結果はイメージです。実際の見え方とは異なる場合があります。
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