私たちが日常で手にするパンフレット・雑誌・Web記事。そこには作り手の情熱や創意工夫が詰め込まれています。しかし、情報がかつてないスピードで消費される現代において、一箇所の誤植や事実誤認が、その作品、ひいては企業の信頼を一瞬にして失墜させてしまうリスクも孕んでいます。
「誰がこの情報の正しさを担保するのか」。その問いに対する答えが、制作部門の最深部に位置する「校正校閲チーム」です。私たちは、華やかなクリエイティブの世界において、あえて「疑うこと」を職務とする異色の集団。読み手が安心してその世界に浸れるよう、静かに、しかし冷徹なまでの精度で「言葉の防波堤」を築いています。
液タブが変えた、校正の「解像度」と「深度」

私たちの部署が誇る最大の特徴は、アナログな紙のチェックを脱却し、液晶タブレット(液タブ)による完全ペーパーレス校閲を標準化している点です。これは単なる「エコ」や「効率化」の次元に留まりません。校正という行為の「解像度」そのものを劇的に進化させました。
ミクロの視点:拡大が暴く、肉眼を超えた違和感
紙の校正では限界のあった微細な部分も、液タブ上では自由自在に拡大可能です。フォントの微妙な太さの違い、画像の解像度不足、あるいは背景に写り込んだ不要な映り込みなど、肉眼では見落としてしまう「ノイズ」を確実にキャッチします。
マクロの視点:情報のリンクを一瞬で検証
液タブとマルチディスプレイを組み合わせることで、制作データ、過去のアーカイブ、最新の公式資料を同時に並べて照合できます。紙をめくる物理的な時間を、事実を検証し、思考を深める時間へと転換しているのです。
シームレスな共有:赤字は「データ」として生き続ける
液タブで書き込まれた指示は、そのままデジタルデータとして営業とデザイナーへ渡されます。手書き文字の読み間違いによる二次ミスを防ぎ、修正の履歴を完璧に管理できる体制。これが、私たちの提供する優位性です。

わずかな画像の欠けを発見。ここまで大きくできちゃう。老眼が始まる年齢なのでもう紙には戻れません。
「ザ・校閲」と呼ぶべき、執念の事実確認(ファクトチェック)
校閲の真髄は、単なる「誤字脱字」の修正に留まりません。私たちがどのような着眼点で「鋭い校閲」を行っているか、その舞台裏を明かしましょう。
時系列と数字の整合性
紙面には「2026年」など発行年度がよく明記されています 。例えば、掲載人物の生年月日 から計算される現在の年齢や、所属年数、あるいは過去実績などとの整合性を徹底的に洗います。「今年度」という表記が指す範囲に矛盾はないか、時を遡るようにして数字の裏を取っていくのです。
固有名詞と役職の「正解」を求めて
人名なら漢字表記はもちろん、所属部署名(「〇〇部」 や「〇〇課」 など)が最新の組織図と一致しているか、一文字の妥協も許しません。
デジタルのゲートキーパーとして
近年、誌面に欠かせないのが二次元コードです 。私たちは実際にそのコードをスキャンし、遷移先のURLが正しいか、公式LINEのID に誤りがないかまで実機で検証します。掲載された情報が「生きて機能しているか」を確認することも、現代校閲の重要な任務です 。
文脈(コンテキスト)を読む
例えば「進化を加速」というスローガンがあったら、添えられた挨拶のトーンが一致しているか。読者が違和感を抱く隙を与えないよう、論理の飛躍や言葉の重複にもメスを入れます。

徹底的な裏どり。すべてPCで行うためファクトチェックも高速。
信頼を「確信」に変える、最後の1ミリ
校正校閲は、間違いがゼロであって初めて「100点」とされる、極めてストイックな仕事です。しかし、私たちが液タブを手に、1ミリのズレ、1文字の矛盾を指摘するたびに、その作品の純度は高まっていきます。
私たちの仕事は、単なる「間違い探し」ではありません。作り手の情熱を、一点の曇りもない形にして読者へ届けるための「磨き上げ」の工程なのです。クライアントから「ここまで見てくれるのか」という言葉をいただくとき、私たちの誇りは確かな手応えへと変わります。
液晶タブレットという最新の武器と、職人のような研ぎ澄まされた感性。この両輪で、私たちはこれからも「言葉の正しさ」を守り続けていきます。
以上、校閲課でした。次回もお楽しみに!
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