プロモーション企画の実践編① - アートパラ深川の場合 -〈1〉

知識やノウハウももちろん大切ですが、そればっかりだとちょっと退屈ですよね?
そこでここでは実際のプロモーションの流れを追いながら、具体的なPR方法の実践を何回かに分けてご紹介していきます。
今回のお題は「アートパラ深川」。障がい者アーティストによる市民芸術祭イベントですが、詳しくは各自で調べてみてください。

プロモーションの目的の確認

冒頭の通り「アートパラ深川」は市民芸術祭、つまり協賛金・支援金のみで運営されているボランティアイベントです。そのため、通常広告屋が取り組む経済ベースの案件とはかなり様子が異なります。最も大きな違いのひとつは、専任の常駐メンバーがいないこと。すべてのスタッフが本業や実業を抱えつつ参加しているので、思い通りにプロモーションが進展しないこともしばしば。もちろん予算も潤沢だとは言えません。そんな状況ではありますが、みんな時間を融通しながらできることをコツコツ進めています。

と、こう書くと、そんな特殊な案件のPRに学ぶべき価値なんてある?という声も聞こえてきそうですが、世の中には時間もお金もない案件なんて山のようにあります。それらの難問をどうこなしていくかというのも、クリエイターとしての醍醐味だと前向きにお考えください。w

このような状況でまず重要になってくるのが、プロモーションの目的の確認と「最小限の予算と手数で最大の効果を発揮するプロモーション手法」の選定と実践です。

まず目的ですが、これはもう

目的=より多くの人にアートパラ深川の活動を知ってもらうこと

これに尽きると思います。アートパラ深川というイベントを始めてから5年ほどが経ちますが、地元深川を中心に、会場となる清澄白河、森下、豊洲周辺ではぼちぼち認知度も高まり、大勢の地元のお客様が参加されるようになりました。また最近ではインバウンドのお客様もたくさん来場され、富岡八幡宮や清澄庭園など、日本らしさ、深川らしさが味わえる会場では特に外国人の方々が目立つようになりました。

とはいえ、コロナ禍などの影響もあり、まだまだ思ったような認知度・来場者数に達していないのも事実。この状況をより改善していくことが目下の最大の目標です。

何をどこからどう取り組むのか

マンパワーもお金も限られているイベントで、どこにプロモーションのウエイトを置くべきか。その手法としては、主に以下の方向性が考えられます。

@ WEBサイトの拡充

A SNSでの発信力強化

B 告知ツールのサンプリング

C 屋外掲示物の設置

D マスコミへのPR

E 地元組織・団体との連携

F 支援企業との連携強化

結構ありますよね。w この中で広報PRチームが主に取り組むのは@〜Dの5つ。これらはあとから詳しく説明するとして、先にEとFの取り組みを少しだけ。

まずEは地元の各種組織・団体との連携強化です。

1)自治体…役所など

2)公益・準自治体団体…公民館・公園・図書館・美術館など

3)町会自治会

4)商店街組合・商工会

5)学校・教育機関

6)宗教法人・団体

7)警察

街を形作る要素として、ざっと上記のような団体や組織が考えられると思います。これらとうまく連携することは、地域イベント成功の大きな鍵のひとつです。ちなみにこれらの団体、まんざら広報と関係なくはないんです。 ポスターを貼らせてもらう場所やチラシを配ってくれるルートや人員の確保など、地元の団体との連携なくして地域イベントは成り立ちません。また各種届出や後援にも、これらの団体との緊密な連携は欠かせないのです。

ちなみにこの活動は、私たちボランティアグループでは「地域連携グループ」がその役割を担っています。

次がF企業との連携。上の4)商店街組合・商工会と少しかぶりますが、Fの企業は地元地域に限定されることなく、純粋に市民芸術祭をサポートしていただける企業との連携です。ボランティアイベントの資金は、そのほとんどが企業からの協賛や支援によるもの。イベントの趣旨をご説明し、賛同していただける企業をどれぐらい多く、継続的に確保できるのか。そしてイベントのボランティア要員としても参加していただけるのか。そのためのイベント概要や報告書の制作、あるいは協賛企業による各賞の制定や授賞式等への参加、そしてそれらに伴う自社PR活動への活動内容報告の掲載支援など、様々な取り組みを行います。

これらの活動は、「企業連携グループ」が中心に役割を担っています。

プロモーションの核、WEBサイト

お金も人もないイベントプロモーションの核、これはもうWEBサイトしか考えられません。ここをどうするかでプロモーション全体の趨勢が決まる、と言っても過言ではないほどに。きっかけは人に聞いた話でもチラシでもSNSでも良いのですが、あらゆる人の注目をまずはWEBサイトに向けさせる、そこにすべての情報を集約させる。ある種プロモーションの拠り所になるものですから。

と、広告屋的に考えればそうなるのですが、そこはボランティアイベント&組織の悲しいところ。毎年担当者が入れ替わり、しかもあまり広告に精通した方がいらっしゃらなかった場合、そうは簡単にいかないもので。アートパラ深川に関しても、サイトについてはようやく前段のお話が重要視され始めてきた、というのが実情です。

イベントスケジュールとの同期性と先見性

そしてもう一点、サイトを円滑に運営するためにはその情報源の早期かつ確実な集積が必要不可欠になります。いくら立派な箱を作っても、中身がスカスカ、あるいはタイムリーでなければ十分な機能が果たせません。ということで話はPRの原点、スケジューリングへと遡ります。

イベント全体のスケジュールをいつまでに確定し、世の中にリリースするのか。そしてリリースの際にはどのような付帯情報(メインヴィジュアル、テーマカラー、全体デザインフォーム、リリース用画像や動画など)が必要になるのか。その流れと最も同期していなければならないのがWEBサイトです。

極端なことを言えば、実際会期中にどこでどんなイベントをやるかとか、どんな風にボランティアを集めるかというお話は、会期数ヶ月前から策を練り始めても間に合うかもしれません。しかしWEBサイトをどう運営していくかは、毎年の実行委員会立ち上げ、あるいはそれ以前に仕込まれて然るべきかもしれません。(でないとそのリリースをどこにどう掲載発表するのかも不明なので)

つまりWEBサイトは、プロモーションの、いえイベントそのものにおけるあらゆる事象の何よりも先んじて考え、動いておかないと辻褄が合わなくなってしまうのです。簡単に言えば、

イベントプロモーションはWEBサイトを中心に回っている

とも言いかえられるかもしれません。

(つづく)

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